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設立時に名前を借りた株主の遺族から株式の買取請求を受けた
バブル経済華やかなりし1986年に脱サラして飲食業の法人を設立したAと申します。その後、経営難の時代も何とか乗り切り、おかげさまで今では地元を中心に4店舗を展開するまでに成長することができました。当期も業績は極めて好調なため、5店舗目の出店計画を立てていたところでした。
そんな折、サラリーマン時代の同僚B氏のご子息、という方が突然当社に来られました。すっかり縁遠くなっていたのですが、B氏は数ヶ月前、病気のため他界したそうです。
ご子息が続けた次の話には、さらに驚きました。
「生前は、父が大変にお世話になりました。調べたところ、父は御社の株を少し持っていたようなので、お返しに上がりました。つきましては、適正な価格で買い取っていただきたいのですが」
というのです。
確かにB氏は、私が法人を設立した時に、株主として名義を借りた人ではありますが、実際に資本金を払い込んだのは私だけであり、B氏は一切、払い込みをしていません。
ご子息はじめ遺族の方は、B氏が当社の株主であることすら知らなかった、ということです。今さら当時のいきさつを話しても問題がこじれそうですし、B氏にはお世話になりましたから税理士と相談し、B氏の株式を買い取ることにしました。
これが思わぬ出費となり、新規出店の話は延期せざるをえませんでした。
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