想定外の事態が頻発! Aさんがしてしまった引っ越しでの失敗3点

概要

Aさんは大学院へ通っていた時に借りていた部屋から実家へ引っ越す際、多くの失敗を重ねてしまいます。大別して、①生活に必要な家財道具まで先に業者に運んでもらった点、②粗大ごみ回収のスケジュールが合わずに自分の手で処分場へ運ばなければならなかった点、③結局引っ越しの時間が大幅に超過してしまい2トントラックのレンタル代を追加徴収されてしまった点、以上の3点が、その主な内容です。

失敗事例

Aさんが大学院を卒業して実家に引っ越しをした際のこと、本格的な引っ越しは初めてだったこともあり、様々な面において不手際を連発してしまいます。
まず、家財道具一式や研究書などの荷物が多かったため、引っ越し本番はレンタカーの2トントラックを借りてAさん自身の手で行うことに。一方、テレビなどの大きな物は業者を利用して先に実家に運び込もうと考えました。実際、これによってAさんは引っ越し本番では単体で重い荷物を運ぶ必要からは解放されたものの、機械的に重い荷物を選別して業者に託したため、1~2週間不便な暮らしを迫られることになります。とりわけ借りていた部屋からはコインランドリーがかなり離れている場所だったこともあり、洗濯にかかるAさんの負担は多大なものでした。
また、処分する家財道具は近所にあったリサイクルショップで売却する予定だったものの、引っ越し数日前の査定でそのほとんどが引き取ってもらえないことが発覚し、Aさん自身で処分しなければならなくなってしまいました。中にはベッドや机など大型の物もあったため、粗大ごみとして引き取ってもらえるかどうか役所に尋ねたところ、直近で1ヶ月近く粗大ごみの回収がなく、結局自身で廃棄物処理場へ持ち込まなければなりませんでした。そこでAさんは仕方なく引っ越しに使う2トントラックに先に処分する物を乗せて、片道1時間ほどの廃棄物処理場へ向かうことに。処分費用は少額しかかからなかったものの、これによりAさんは大幅な労力を消費させられて憔悴する結果となってしまいました。
さらに廃棄物処理場へ処分品を持ち込んだことで、その後の引っ越しスケジュールも大幅に狂ってしまうことになります。大学院に通うために借りていた部屋と実家の間は高速道路を利用して1時間半ほどの距離でしたが、とにかく本の量が多いことに加え、素人の手による引っ越しだったため、2トントラックの返却も含めて3往復しなければならなくなってしまいました。2往復目の際には母親を呼び寄せて部屋の掃除をしてもらう一方で、Aさん自身は深夜まで荷物の積み込みと搬送を続けましたが、2トントラックのレンタル期日まで引っ越しが完了せず、超過分のレンタル料金を支払わなければならなくなってしまいました。
結果的にAさんの引っ越しは、すべて業者に依頼するよりかなり安価で済みました。しかし、そのためにはらった労力が想像よりもはるかに多く、まったく割に合わないものでした。

正しい対応

まず荷物を業者と自分の手で段階的に運ぶようにするのであれば、どの家財道具を業者にお願いするのかしっかりと選定することとが重要です。さらに直前まで使用する家財道具を業者に運んでもらう場合、業者のスケジュールを引っ越しの直前で押さえておく必要があります。やはり年度末になるとどの引っ越し業者もつかまらないので、実家に戻ると決めた段階で引っ越しの全ての日取りを決めて、引っ越し業者を押さえておくくらいのことはするべきでしょう。
不必要な家財道具の処分が大きな負担となってしまったのも、そうした引っ越しスケジュールのあいまいさに原因があります。リサイクルショップは確かに上手く活用するに越したことはありませんが、自分が不必要な物の多くは他人にとっても不必要である可能性が高く、どんな物でも買い取ってくれるという過信は禁物です。早い段階から何を引き取ってくれるのかを確認した上で、月に1、2度の粗大ごみ回収のチャンスを逃さないように処分計画を進めていくべきでした。

解説

今回のAさんの引っ越しは、多い荷物を実家に運ぶに当たって極力出費を押さえるという点に主眼がありました。しかし、そうした主眼に比して引っ越しの計画が練られていないことが失敗の主な要因です。引っ越し業者を上手く活用して引っ越しにかかる負担を極力減らしたいのであれば、業者に運んでもらう家財道具の選定や廃棄物の処分計画などを上手く練る必要があります。
また、引っ越しにかかる出費を押さえるに当たっても高い計画性と早い段階からの準備が必要です。その際に用意したいのが、「引っ越しの工程表」です。少なくとも引っ越しの1~2ヶ月前から項目別にこなすことと、その遂行期日を明記した表を作成して引っ越しに当たれば、Aさんのように大きな負担を強いられることなく、より安価に引っ越しを行うことができたはずです。また、しっかりした計画性に基づいた工程表があれば、引っ越しにつきものな「不測の事態」も、十分対応可能な範囲で収めることが可能になります。

 

転ばぬ先の杖!

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