都道府県を跨いで引っ越す時に気を付けたいこと

概要

Aさんがとある県から別の県へと家族で引っ越した時のことです。県内で完結する引っ越しではないため、全国で引っ越し事業を行っている会社に依頼しました。今までも県を跨いで引っ越しをしたことはありますが、仕事の都合だったためトラックの手配は勤務する会社持ちでした。しかし、今回は勤務する会社の都合ではないため自分で探すことになりました。

失敗事例

引っ越し荷物の積み込みは問題なく行われ、予定通りに荷物も到着しました。しかし、着いたトラックに対して、Aさんは違和感を感じます。積み込む前より大きくなっていたのです。過去にも県を跨いで引っ越しを行ったことはありましたが、いつも同じトラックでした。その証拠に、荷物を積み終わった後、荷台を閉めた扉に紙を貼りサインをして、到着時に確認を取っていました。そういえば今回はサインしなかったな、普通の引っ越し会社はこんな感じなのか、とAさんは思いながらも荷物を降ろす作業が始まりました。順調に進んでいましたが、荷物がすべて運び終わるころ、側面などが割れた衣装ケースが運ばれてきました。業者の人は何も言いません。明らかに壊れて使い物にならないものをそもそも引っ越し荷物とするかということに疑問を持たなかったのか、Aさんは不思議でなりませんでした。Aさんはあまりのことに呆然としてしまい、それを問いただすこともなくトラックの荷台に荷物がないことを確認し、そのまま帰してしまいました。ちゃんと聞けばよかったと思いつつ、気を取り直し、一段落したら引っ越し会社に電話を掛けよう、とAさんは荷解きを開始します。すると、今回の引っ越しで初めて移動させた冷蔵庫の裏側が凹んでいたり、同じく引っ越しが初めて移動させた家具にも複数の傷がついていました。また、荷物に何が入っていたのかはっきりと記入し、荷物をどこに運んでほしいか指示をしたにも関わらず、全く関係のない場所に置かわれていた荷物もありました。この時点でAさんは、業者選びを失敗したなとは感じたのですが、その後の会社の対応も酷かったのです。
壊れた衣装ケース、凹んだ冷蔵庫、傷がついた複数の家具について会社に連絡を入れます。後日連絡しますと言われたAさんですが、それきり数ヵ月放置されました。いい加減遅いと改めて連絡を入れたところ、会社側で行き違いがあった模様でした。県を跨いでいたため、営業の主体がそれぞれの県で分かれており、お互いに今回の補填や修理は自分の管轄ではないと思っていたようです。そんな行き違いもあり、さらに数週間待たされた後、やっと壊れた衣装ケースの代わりの衣装ケースが届き、傷のカバーができる家具の補修は行われました。しかし、おざなりとしか感じられない対応ばかりでAさんには不満が残る引っ越しでした。

正しい対応

多くの家具に被害が出たのは、途中で荷物の積み替えがあり、積み替えた後のトラックが荷物の量に対して大きかったことに由来すると考えられます。単身パックであれば、個々人の荷物はしっかりと分けられ、荷物の数に過不足がないか確認がしっかり行われます。今回、荷物がすべて降ろされた後、トラックの荷台に荷物がないかについての確認はありました。しかし、すべての荷物が届いたのかどうか、Aさんに自信はありませんでした。対応できるかどうかは別として、現場の責任者に荷物の積み替えがあったかどうかについてと壊れた衣装ケースについて、Aさんは尋ねるべきでした。特に、衣装ケースについては運搬担当の人からその場で一言あってしかるべきだったと感じたのであれば、呆然とせず、対応できればよかったでしょう。荷物の運搬については、引っ越しシーズンだったこともあり、運搬の人も疲れた状態での作業だったのかもしれません。そのため、指示した場所に置いてくれているか、Aさんはその場で視界に入れて確認をしていればよかったのです。そうすれば変な場所に置かれてしまうこともなかったかもしれません。また、事前に不備があった場合の補填、補償は引っ越し前と引っ越し後、どちらの営業所が責任を持つかについても確認しておくべきでした。Aさんは、経営主体はすべて同じだろうと考えていました。問い合わせた際にも、いつごろまでに対応してくれるかきちんと確認し、いつ問い合わせたのかもきちんと把握しておくべきでした。

解説

今回の引っ越しの失敗から言えることは、確認の大切さです。事前に確認したい事項としてはどのように荷物が運ばれていくのか、積み替えはあるのか、補償などの責任の取り方については重要項目です。引っ越し作業中、少しでも疑問を感じることが起きたのならば、嫌な顔をされたとしても現場責任者に確認を取ることも重要です。会社の方に問い合わせればわかることかもしれませんが、その場でわかるに越したことはないのです。また、同一県内の引っ越しであれば、長期間放置されることもなかったでしょうが、同一県内で完結しない場合、問題が起きたときに対応してくれる営業所がどこなのかもしっかりと確認した方がいいでしょう。

転ばぬ先の杖!

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