引っ越し先のお隣さんとの関係は重要です!
概要
Aさんが生まれて初めて引っ越しを経験したのは、1年付き合った彼と結婚を決めた2ヵ月後のことでした。その時、お腹の中にはすでに新しい命が宿っていました。Aさんも夫も結婚するまではお互いずっとそれぞれの実家で暮らしていたので、引っ越しも物件探しも何もかもが初めての状況でした。
失敗事例
Aさんの実家は田んぼに囲まれた静かな住宅地で、近くに駅やスーパー・病院などはなく、どこへ行くのも車がないと不便な場所でした。
「これから赤ちゃんも生まれることだし、せめてスーパーくらいは歩いていける距離のアパートがあると助かるんだけどなぁ…」
「あ、小さい子供は熱を出すことも多いから、小児科も近くにあると安心かも…」
新居に対する希望はどんどん膨らんでいきます。
それに対して夫はというと、仕事が忙しくてほとんど休みが取れない状況だったため、アパート探しはほとんどAさんに任せっきりで、
「僕は特にこだわりもないし、家に長くいるのはAなんだから、Aが気に入ったアパートを探すといいよ。まぁ、強いて希望を言うなら、会社からあまり離れていないアパートがいいってことぐらいかな」とAさんに伝えていました。
夫は優しいといえば聞こえはいいですが、どこか優柔不断で、仕事の忙しさを言い訳にあまりアパート探しについてきてくれないことを、Aさんは密かに不満に思っていました。
「物件の間取りや賃料は、ネットで確認できるからラクなんだけど…、実際に管理会社に連絡を取って部屋まで下見に行くのが大変なのよね。引っ越しエリアも私の実家から20キロメートル以上離れているところだし…」
おまけにその時の季節な夏で、暑さと身重の体、つわりも重なって、Aさんのアパート探しは思うように進みませんでした。そんな鬱々とした気持ちで続けていたアパート探しでしたが、一筋の光がAさんにさしこんだのです。希望エリアで好立地、しかも破格の賃料で入居者希望を出している部屋が見つかったのです。徒歩5分圏内にスーパーや病院があり、15分圏内には小学校や中学校・デパートも立ち並ぶ立地です。部屋の間取りも、なかなか見つけることが難しいメゾネットタイプで、1階も2階も自分の居住スペースとなります。これなら子供が生まれても、下の階の住人に足音で気を使わなくて済みます。管理会社に連絡を取って下見に行くまでの間に、既にAさんはこの部屋を契約する気持ちを固めていました。デメリットを一つ挙げるとすれば、アパートの築年数が20年目を迎えるということだけでした。しかし、実際に下見させてもらうと外観は綺麗に塗り直しされているし、内装も張り替えてあり、お風呂やキッチン・トイレなどの水周りも問題なく使えました。
考えようによっては、築年数がある程度経っているからこそ、安い賃料で住めるのだ、とAさんはプラスの方向に考えました。忙しい合間を縫って一緒に下見に来てくれた夫もその部屋を気に入ってくれたし、そのアパートの部屋は一部屋しかもう空きがないということもあり、下見を終えてすぐに二人は管理会社と賃貸契約を結んだのです。それからは引っ越し会社を利用してお互いの実家から家具を運びこみ、足りない家電は購入するなどして、新生活の準備を着々と進めていったのです。そして、順調に引っ越し作業が進み、隣の部屋の人に挨拶に行った時のことです。
挨拶の時に相手に渡す手土産も用意し、何回か玄関のチャイムを鳴らすのですが、一向に住人が出てくる気配がないのです。
「部屋の明かりはついているし、帰宅されているはずなんだけどなぁ」
その時はタイミングが合わなかっただけかも、とさほど気に留めなかったAさんでしたが、明くる日もその明くる日も、隣の住人が玄関に顔を出すことはありませんでした。
「ねぇ、このアパートの人って隣近所とお付き合いしないタイプの人が多いのかしら。赤ちゃんももうすぐ生まれてくるし、最初のご挨拶くらいしておきたかったんだけどな」
Aさんはため息まじりに夫につぶやくと、
「まぁ、いろんな人がいるからね。あまり気にしないほうがいいよ」
夫はそう言いました。その言葉に、Aさんも気にしてばかりいられないと思い直し、新生活をスタートさせたのでした。
ところが、それからもAさんのアパートの住人に対しての不信感を募らせる出来事が立て続けに起こることとなるのです。例えば、朝のゴミ出しや外出するときに玄関先で隣の人と顔を合わせても、挨拶しないどころか目も合わせてくれない。こちらが挨拶しても、聞こえていないフリをしているのか、無視されてしまうのです。
「アパートではこれが普通なの? 挨拶はするべきという私の考えがおかしいのかしら?」
実家の住宅地では考えられない光景に、Aさんは唖然としました。しかも夜になると、大音量の音楽が壁を伝って自分の部屋に漏れてくるのです。
Aさんは何度も管理会社に注意してもらうようにお願いしましたが、一向に改善されることはありませんでした。
正しい対応・解説
内覧の際、管理会社に隣人がどういう人なのか確認をする必要がありました。
一般的に集合住宅にける隣人トラブルはよく起こりがちです。騒音やゴミ出し、挨拶や共用部の占有などが主なることです。
今回のような失敗をしないためにも、引っ越し先にはどのようなタイプの人が住んでいるのか、ある程度の情報収集は必要です。