安いだけで選んでその業者大丈夫? 大切なピアノは専門業者に

概要

「引っ越し貧乏」という言葉があるように、引っ越しはなにかとお金がかかるものです。できるだけ費用を節約したいと考える人も多いですが、安いだけで業者を選んで失敗した人も見られます。特にピアノの運搬に関しては、ピアノ専門の業者に依頼するほうが安心かもしれません。
安さだけで引っ越し業者を選んだ場合や、ピアノ運搬をいい加減な業者に頼んだ際の失敗には、どのようなものがあるのでしょうか。離婚のために夫婦で住んでいた家を出てハイツに単身引っ越しをすることになったAさんの事例を見てみましょう。

失敗事例

Aさんは子供のころからずっとピアノを習っていました。離婚して狭いハイツに一人暮らしするとなった際にも、ピアノだけは持って行きたかったのです。
Aさんは実家に普通のアップライトのピアノがあり、そのとき自宅で使っていたのは電子ピアノでした。電子ピアノといえども大きいですし、引っ越しで運ぶとしても運搬料が高くつきそうで心配でした。
できるだけ引っ越し費用を抑えたかったAさんは、名の知れた業者ではなく街の小さな何でも屋さんのような個人店に引っ越しを頼むことに決めました。節約のために自分で運べる荷物は車で往復して運ぶことにして、何でも屋に頼むことにした残りの荷物は以下のアイテムです。
冷蔵庫・洗濯機・本棚・電子ピアノ・自転車・布団
その業者は、スタッフ一人で来るとのこと。ピアノは二階に置いていたし、果たして一人で大丈夫なのかとAさんは不安でしたが、電子ピアノは少しはばらせるし一人でも大丈夫だということでした。
そして引っ越しの当日、40代半ばくらいのおじさんが一人で来ました。一人で運ぶのは無理がありました。それでもなんとか二階からピアノを下ろし終えて軽トラックに積み込みも完了したものの、やはり危なっかしい感じ。荷台の上でピアノが揺れていました。
新居のハイツの部屋は1階でしたが、エントランスから細くて長い廊下を通らなければなりません。さらにその廊下の角が狭かったのです。
廊下が狭くて、電子ピアノも運びにくかったのですが、とうとう心配していた事態が起きました。廊下の角を曲がる際に、ドンッと鈍い音がして、ピアノの片側の角が当たったのです。「あっ」思わず声を上げてしまったAさん。部屋に入れてからスタッフとピアノを確認したところ、右側の奥の角がへこんで変形してしまっていました。何度もスタッフは謝るのですが、ピアノは安いものではありません。そうするとスタッフが、「すみません。ピアノの運搬料は値引きさせていただきます」と。けれどもAさんがもらった見積書は、洗濯機や電子ピアノや自転車の総合計金額が書かれてあるだけで、電子ピアノの運搬料がいくらかは表記されていませんでした。それでAさんが、「ピアノの運搬量はいくらなのですか?」と聞いたところ、「6000円です」との返事が。つまり、6000円の値引きになるということです。ピアノがへこんでショックを受けていたAさんですが、値引きしてくれるのであればもういいかなとそのときは思い承諾しました。離婚の引っ越しだったし、あまりいろいろとたいそうな揉めごとになってもややこしいとAさんは思ったそうです。

正しい対応

Aさんの事例を見てまず言えることとして、安い業者に依頼するとこのように人件費を削るなどの無理があるために商品破損のリスクも高まります。さらにピアノというデリケートな楽器に関しては、少しくらいお金がかかったとしてもピアノ専門の業者に依頼するほうが安心といえるでしょう。
そしてもうひとつ重要な点は、Aさんがもらった見積書には総合金額しか書かれていなかったという点です。きちんとした業者であれば、見積書は各商品の価格がそれぞれ明記されています。すべてではなくとも、大きなアイテムに関しては各料金がわかるようになっているでしょう。
電子ピアノなどは必ず、ピアノだけの運搬額が書かれてあるはずです。この点から見ても、この業者がおおざっぱであることが分かります。本当ならばAさんも見積書をもらった段階でそのことに気付き、もっと丁寧な業者に変えるべきだったのです。見積書は業者選びのバロメーターにもなるので、よく確認したいものです。
Aさんの場合、電子ピアノ破損は6000円の値引きになりましたが、本当に6000円だったのかどうかもこうした曖昧な見積書では分かりません。一般的な小型ピアノの運搬料金の相場は8000円~12000円なので、もしかすると弁償費を安く言われたのかもしれません。

解説

Aさんの場合は電子ピアノでしたが、アップライトやグランドピアノの場合は尚更、ピアノ専門の業者に運搬を依頼したほうが安心です。専門業者であれば、引っ越し後の調律やピアノを置く際に下に専門の板を置いて固定するなどの作業をしてもらえる所もあります。
大切なピアノに関しては、のちのち後悔しないですむように信用できる業者に依頼したほうが賢明かもしれませんね。

転ばぬ先の杖!

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