こんなはずでは! 破損や紛失は意外と多い失敗
概要
引っ越しの経験をしたことのある人であれば、一番大変な作業として荷造りを挙げる人が多いかもしれません。普段はあまり意識することのない自宅の荷物。クローゼットや押入れに収納されていたり、見せる収納として飾られていたりするため、いざ荷物の整理を始めるとその量に驚かされることは多いものです。引っ越し業者を利用する場合でも、業者から無料でもらうことのできる段ボールだけでは足りず、あわててホームセンターに梱包資材を買いに行かなければならなくなることも。そんな量の荷物を梱包する訳ですから、引っ越しの際に必要なものと不要なものをしっかりと分別し丁寧に梱包することが、トラブル回避のための大きなポイントになるのです。
失敗事例
Aさんはこれまで一人暮らしをしてきましたが、転職を機に、職場に近いマンションへ引っ越すことにしました。現在の住まいは郊外にあり交通の便が多少不便な立地ということもあり、一人暮らしには不自由のない間取りを格安で借りることができたお気に入りの物件です。しかし転職後の仕事は帰りが深夜になることもあり、安全面も考慮して職場に近く人通りのある通りに近い物件への引っ越しを決断したのでした。
Aさんにとってはこれが人生で2度目の引っ越しです。前回は実家から現在の住まいへの引っ越しだったので、荷物の量も少なく、訳なく引っ越し作業は終了しました。しかし今回はそうにもいきません。3年以上に渡る一人暮らしで荷物が増え、広い間取りだったことも災いして、Aさん自身が考えるよりも荷物は増えていたのです。しかし前回の引っ越しの記憶が残っているAさん、今回も大丈夫だろうと考え、荷造りをギリギリまで行いませんでした。繁忙期ではなかったので、引っ越しの日程はAさんの希望通りの日に行われることが決定。見積もりにきた営業担当者に「一人暮らしにしては荷物の量が多めですね」と言われたことも気にする様子はなく、Aさんが荷造りを急ぐ気配は全くありません。
そんなAさんですから、当然引っ越しの日程が迫ってきてやっとその重い腰が上がります。ぼちぼちと荷造りし始めるも、必要なものと不用品の分別は思いの他時間がかかり、壊れ物を一つひとつ梱包したり、荷物のジャンル別に整理をしながら梱包をするのはなかなか思うように作業が進みません。一人暮らしの引っ越しでは引っ越し業者から支給される段ボールにも限りがありますから、Aさんの荷物をすべて梱包するにはまったく量が足りす、ギリギリになってそのことに気づき、段ボール購入のため近くのホームセンターへ何度も駆け込まなければなりませんでした。
普段は仕事をしているAさん、今の住まいは木造アパートの2階なので、仕事から帰ってきても荷造り作業をできる時間はそれほどありません。週に2回ばかりある休みの日にまとめて梱包作業をする必要があります。しかし引っ越し予定日までに残された時間はあまりなく、休みの日に一人で荷造りを行うにしても作業を終了できる目途が立たないと判断し、Aさんは数人の友人に梱包を手伝ってもらうことにしました。しかし梱包を手伝ってくれる友人たちは、だれもこれまで引っ越しの経験がない人ばかり。ですから、壊れ物はクッション材に包んで、一つの段ボールに重量のあるものを集中して入れることは避けるといった最小限の注意をするだけしかできず、もうどの段ボールに何が入っているのかは開けてみないとわからない状態です。もちろん段ボールの側面には中に入っているものをマジックで記載してもらっていますが、自分自身が梱包した訳ではないので、記載以外の別のものが一緒に梱包されている可能性もあります。しかしとにかく梱包を終わらせなければならないので、贅沢は言っていられません。なんとか友人たちに助けられ、引っ越し予定日までに梱包を終えることができたのでした。
引っ越し当日、スタッフの手慣れた仕事で荷物の搬出と搬入は問題なく終了します。新居は段ボールの山になり、これからこの大量の荷物を荷解きしなければなりません。なんとか引っ越しを終えることができたものの、その中にはAさん思い出の品や大切にしていた品もあり、そうした品を事前に分別する前に友人たちを呼んで梱包をしてしまったことが悔やまれ、そうした大切な品の所在だけが気がかりでなりません。気になったAさんは大量にある段ボールの箱を一つひとつ開け、大切な品の状態を確認する事にしました。確認をしてみると、なんと大切にしていたお皿の数枚が破損していることが判明。梱包の不備が招いた事故でした。
正しい対応
しっかりと梱包し入れ方を考えていれば、こうした失敗は避けられたでしょう。しかし時間がなかったAさんは友人を頼らざるを得ない状況であり、手伝ってくれた友人を破損について責めることもできません。新居への引っ越しは無事に終わったものの、なんとも言ないもやもやした気持ちになったAさんなのでした。
こうした失敗を避けるには、何といってもしっかりとした段取りと時間的な余裕をもって作業をする事です。自分が大切にしている物は別の箱にまとめて自分が管理するなど工夫をすれば、こうしたトラブルは避けることができるのです。