無責任な業者にはご用心! 荷物の取り違えに気を付けよう!

概要

アパートで一人暮らしをしていたAさんは仕事の都合で引っ越しをすることになりましたが、時間の都合がつかないほどに忙しい生活だったので荷物の梱包ができない状態でした。そのため、引っ越しに関係する作業のすべてを任せることができるプランを扱っている専門業者を探していたAさんは、格安かつ一括で荷物の梱包から荷卸しまでを引き受けるB業者を知り、早速詳しい話を聞くことにしました。この時点でAさんは、複数の引っ越し業者を比較して詳細を確認するのを忘れてしまう失敗をしていました。Aさんの連絡を受けたB業者はすぐに自宅に訪れ、単身者向けの引っ越しプランを勧めてきました。B業者の強引な勧誘に対してAさんは戸惑いましたが、引っ越し作業を自分で行う時間がなかったこと、他の引っ越し業者との比較を行わなかったことから、B業者の言うがままに契約を結んでしまいました。そのため、引っ越し当日になって大きなトラブルに見舞われてしまいました。

失敗事例

Aさんが引っ越しを予定していた当日の午前中にB業者の輸送トラックが到着しました。しかし、単身者向けの引っ越しプランでありながら使用しているトラックは10トンクラスの大型だったため、狭い路地に建つアパートへの横付けができずに表通りをふさぐ形で駐車していました。近隣への迷惑になると考えたAさんは車両の変更を要求しましたが、B業者の答えは他の引っ越し案件の荷物も積んでいるので大型のトラックを使用するというものでした。話を聞いたAさんは他所の荷物と混在させることに不安を感じましたが、専門業者なので間違いはないだろうと好意的に解釈すると同時に、相手を怒らせるようなことを言うと引っ越し作業をキャンセルされると思い、何も言えませんでした。
Aさん宅の引っ越し作業は荷物の梱包や室内の清掃も作業員が行う完全お任せのプランでしたが、作業はとても粗雑で荷物の管理の不具合が多いのが実情でした。食器類や家電製品には緩衝材を使わずにそのままボール紙を巻き付けるだけの手抜き梱包で、トラックへの積み込みも力任せに放り投げたり足で蹴るなど、依頼者の預かり品を乱暴に扱っていました。また、Aさんが通帳や貴金属を入れている小袋も、すべての荷物を作業員が扱うことを理由にトラック内に放り込んでしまいました。Aさんは貴重品を取り上げられるようにトラックに押し込まれたことでB業者への不信感が募りましたが、引っ越し作業を早く終わらせる必要があったので我慢して黙っていました。新居へ向かう際に旧居アパートの掃除を行う内容の契約でしたが、実際は室内の中央部分だけでホウキを数回使う程度の行為だったのもB業者への不信感を増大させる要因でした。新居での荷卸し作業もアパートでの積み込みと同様に乱暴な扱いだったため、室内に持ち込まれた荷物のいくつかは梱包材の上からでもわかるほどに損傷していました。食器類にいたっては割れた破片が梱包材を突き破ってトラックの荷台や新居内に飛び散っている有様でした。荷物を壊されたことだけでも大きなトラブルですが、引っ越しが終わった後になって他所の荷物が誤って新居内に運び込まれていたことが発覚しました。AさんはB業者に対して荷物の回収を要求しましたが、梱包材が剥がされていることを理由にB業者は要求を拒否しました。そのため、Aさんは自分で他所の荷物の持ち主に連絡を取って回収するように頼む羽目になってしまいました。

正しい対応

Aさんは引っ越し作業の時間がなかったことを理由によく吟味せず即決してしまったため、作業が粗雑で責任感がない業者に当たってしまい、大きなトラブルに巻き込まれてしまいました。引っ越し作業を業者に依頼する際には、プライベートの空間を第三者に出入りされること、貴重品を含める私物を一時的に預けることを自覚したうえで、信頼できる優良な業者を選ぶように心がけることが重要になります。特に荷物の扱いについては依頼者の資産を手元に置くことになるので、損傷や取り違えなどの不具合が生じるような乱暴な扱いをするところは避けるのが賢明です。特に複数の引っ越し作業で運ぶ荷物を一つの車両に混在させるような無責任な行為を働く業者は万が一トラブルが生じた場合でも責任転嫁を図る可能性があります。そのため、業者選びは時間をかけて情報を集め、予算や日数を確認しておくことが重要なポイントです。

解説

悪質な引っ越し業者は費用の安さや企業のイメージを強くアピールして依頼者に考える余裕を与えないように絶え間なく口を開く傾向があります。また、実際の引っ越し作業は下請けや孫請けの別業者が行うケースもあるので、面倒でも引っ越しプランの詳細や費用の内訳などを詳しく確認することが大切です。依頼者からの情報開示要求に対して否定的な態度を取る業者は引っ越し作業の際にトラブルが起きやすい傾向があるので注意します。また、貴重品や高価な物品を依頼者が別に扱うのを嫌がるような業者も紛失や盗難が生じる危険が多いので、必ず業者の評判を確認して作業の依頼を判断することが快適に新生活を始めるための心得です。

転ばぬ先の杖!

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